ロイヤルカスタマーの指標とは?分析・選定方法
ロイヤルカスタマーとなる顧客は、企業やブランドはもちろん商品やサービスによっても異なります。これを正確に判断・集計する際に用いられるのが、LTVやNPSといった指標です。
正しく指標を使いこなせるようになれば、ロイヤルカスタマー向けの施策をより効果的に展開できるようになります。
本記事は、ロイヤルカスタマーとそれを見分ける指標について解説します。指標の具体的な活用方法も取り上げるので、こちらも併せてご活用ください。
目 次
ロイヤリティとロイヤルカスタマーとは

顧客ロイヤリティとは顧客がいかに商品やサービスに対する愛着を持っているかを指す指標です。
主に高低で表現され、ロイヤリティが高い顧客は企業が提供するものに満足しているだけでなく、企業やブランドの理念・コンセプトに共感しています。
このような顧客をロイヤルカスタマーと呼びます。ロイヤルカスタマーは、売上のほとんどを生み出す存在であり、安定した経営のためには欠かせない存在です。
以下の記事ではロイヤルカスタマーについて詳しく解説しています。より詳しい内容を知りたい方は、こちらをご覧ください。
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顧客ロイヤリティの3つの視点

客ロイヤリティは以下の3つの視点に分類できます。ロイヤリティの種類やその特徴について具体的に見ていきましょう。
心理ロイヤリティ
心理ロイヤリティとは、顧客から見た企業や商品への心情を定義するロイヤリティです。具体的には、以下の心理を指します。
- 企業やブランド・商品に対する信頼や愛着の程度
- 企業や商品を応援したい気持ち
これらが高い顧客は心理ロイヤリティが高い顧客であると定義できます。顧客の心情を図る必要があるため定量化が難しいですが、顧客のロイヤリティを構成するうち最も重要な要素です。
経済ロイヤリティ
経済ロイヤリティは購入金額や回数で定義されるロイヤリティです。頻繁かつ高額な商品を購入している顧客を高ロイヤリティと定義します。
心理ロイヤリティが高い顧客は、経済ロイヤリティも高くなる傾向にあります。しかし、経済ロイヤリティが高ければ心理ロイヤリティも高いとは限りません。経済ロイヤリティに対して心理ロイヤリティが低い顧客もいます。
この点に注意しつつ見極めるのが、ロイヤルカスタマー育成における重要なポイントです。
行動ロイヤリティ
行動ロイヤリティは顧客と接する回数で定義される指標です。具体的には、以下のような要素が指標になります。
- 購入しなかった場合も含んだ来店回数
- アンケートへの回答
- 口コミ・サービスサイトへのアクセス
これらのタッチポイントに顧客が購入や推奨に至るまでの間、どれだけ触れたかが判断基準となります。そのため、行動ロイヤリティは心理・経済双方のロイヤリティ向上において、重要な役割を担っています。
ロイヤルカスタマーの主な指標と調べ方

ロイヤルカスタマーとなる顧客は、企業や店舗・商品などにより異なります。見つけるにはいくつかの分析や指標をチェックし、自社のロイヤルカスタマーが持つ共通点を探して明確化する必要があります。
そこでここではこの分析で活用される指標について解説します。ロイヤルカスタマーにおける分析についてより詳細な内容を知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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LTV分析
LTV分析は「Life Time Value」の略称で、顧客が自社と取引を開始してから終了するまでの期間中にもたらす利益を計算する手法です。計算方法は複数あり、ロイヤルカスタマーを求める場合は、以下の計算式を用います。
顧客の年間購入額×収益率×顧客の継続年数
以下の記事では計算方法のほか、マーケティングでの活用方法についてより詳細に解説しています。興味を持たれた方は以下の内容も参考にしてください。
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NPS
NPSは「Net Promoter Score」の略称で、顧客が企業に対してどの程度信頼や愛着を感じているかを分析する際に使用します。
やり方は特定のブランド・製品・サービスに対し「友人や同僚にすすめる可能性を0~10点で評価する」アンケートを回答してもらいます。
アンケート結果を集計したら、以下3つに分類・分析します。
- 9~10点:推奨者
- 7~8点:中立者
- 6点以下:批判者
これに加えて点数を付けた理由も併せて集計すれば、ロイヤルカスタマーとなる顧客の属性や理由もわかるようになります。心理ロイヤリティを数値化したい場合などに有効な手法です。
顧客満足度
顧客満足度は顧客が企業に対して持つ満足度を数値化したもので、製品やサービスの購入前期待値と実際の満足度の差を用いて算出します。
顧客満足度は高ければ高いほどいいわけではありません。サポートの不十分さや購入に至るプロセスの手間などで離脱することもあります。
より正確な指標を得るには、ほかの測定方法と組み合わせて使用する必要がある点に注意しましょう。
顧客満足度はNPSとよく似ていますが、顧客満足度は顧客自身が満足しているかを測定します。
対してNPSは顧客に対して「この商品(サービス)を友人・知人に紹介できるか」といった、顧客の責任も含む重い内容を用いて集計・測定されます。
顧客満足度は購入やその後に感じた顧客の不満が隠されている場合がありますが、NPSは顧客自身に責任がおよぶ内容を想定している分、よりシビアな評価が得られます。
顧客満足度とNPSのどちらを利用するかを検討する際は、ロイヤリティ測定における正確さに違いがあることを頭に入れておきましょう。
CES
CESは「Customer Effort Score」の略で、「顧客努力指標」とも呼ばれます。これは比較的新しい集計・分析手法で、顧客が購入などの過程で直面する課題を解決するためにどれだけの負担がかかったかを明らかにするものです。
この指標を集計する際には、顧客が購入に至るまでに感じたストレスや負担について、7段階程度の選択肢から回答してもらいます。課題解決にかかる労力が少ないほど、顧客満足度が高くなるという考え方に基づいています。
ロイヤルカスタマーの指標を用いて定義する方法

顧客ロイヤリティには複数の種類があり、そのうちひとつだけを満たしている顧客がいても本当にロイヤルカスタマーであるかは判断できません。より正確に判断するには、指標を用いた分析を通して自社のロイヤルカスタマーを発見・定義する必要があります。
次は指標を用いてロイヤルカスタマーを定義する方法について解説します。
経済ロイヤリティの高い顧客を探す
まずは全顧客のなかからロイヤルカスタマーを絞り込む必要があります。経済ロイヤリティの高い顧客はロイヤルカスタマーである可能性が高いため、LTV分析などを通して顧客を絞り込みましょう。
絞り込んだ顧客を別の分析にかけることで、ロイヤルカスタマーを絞り込めます。
NPSを用いてロイヤルカスタマーに該当する顧客を洗い出す
経済ロイヤリティの高い顧客にはロイヤルカスタマーが含まれていますが、すべての顧客がそうであるとは限りません。確実にターゲティングするには、絞り込んだ顧客から心理ロイヤリティの高い顧客を見極める必要があります。
以下の分析にかけて心理ロイヤリティの高い顧客を見出しましょう。
- NPS
- 顧客満足度
- CES
これらの分析にかけた結果が出たら、次の段階に進みます。
ロイヤルカスタマーの指標を見つけ定義する
顧客を複数の分析にかけると、いくつかのグループに分類できます。これをまとめたマトリクス図を作成し、ロイヤルカスタマーに該当する顧客を可視化しましょう。
例えばLTVとNPSの結果を組み合わせて図を作ると、以下のようになります。
| LTV分析 | |||
| 高 | 離脱候補者層 | ロイヤルカスタマー候補者層 | ロイヤルカスタマー |
| 低 | 非協力者層 | 無関心者層 | 広報担当者層 |
| NPS | 高 | 中 | 低 |
図を見るとロイヤルカスタマーに該当する顧客は右上に分類されます。この指標となる顧客が持つ属性などの共通点を見つけることで、ロイヤルカスタマーのペルソナが作成できます。
施策を実施する際は、分析から生まれたペルソナを参考に計画しましょう。
ロイヤルカスタマーの選定や分析は正しい指標を用いて行う
ロイヤルカスタマーは企業の経営において重要な存在です。戦略を立てる際は自社を支持している顧客の属性などを正確に把握したうえで立案する必要があります。正しい指標と分析を用いて、自社のファンを明確化しましょう。






