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エリアマーケティングとは|売れる店舗づくりのための分析・戦略

エリアマーケティングとは|売れる店舗づくりのための分析・戦略

実店舗において最も重要なのは、実際に店舗を訪れる顧客と言っても過言ではありません。どんなに良い商品を適正な価格で販売していても、訪れる顧客のニーズとずれていたり、来店しやすい場所や時間帯に展開していなかったりすると、店舗の売上にはつながらないためです。

そこで、今回は「売れる」店舗づくりに重要な「エリアマーケティング」という考え方について解説します。

エリアマーケティングとは

エリアマーケティングとはどんなものか、エリアマーケティングを理解するために重要な「商圏」という考え方についてご紹介します。

エリア(地域)特化のマーケティング手法

実店舗には、訪れる顧客の範囲がある程度店舗の近くである、という縛りが生まれます。店舗に訪れる可能性が高い顧客(潜在顧客)が見込まれる範囲のことを「商圏」と言います。実店舗を展開する際には、この「商圏」についてよく検討しなくてはなりません。

実店舗を展開する、あるいは既に店舗が存在するエリア(地域)において、住民の生活様式や地域の文化的側面、交通インフラなど各地域の特性を考慮して行うのが「エリアマーケティング」です。

エリアマーケティングによって、売上アップはもちろん、顧客満足度の向上も期待できます。新規店舗の出店時にはエリアマーケティングの考え方が欠かせませんが、既存店舗の売上アップや統廃合を考える際にも有効な手法です。

エリアマーケティングと「商圏」

商圏(Market Area)とは、店舗の潜在的顧客が生活している範囲のことを指し、商圏の中心である店舗から辺縁部までの距離を「商圏距離」、商圏の中に存在する全人口を「商圏人口」と呼びます。商圏の範囲はすべての店舗で同じというわけではなく、取り扱う商品の種類や店舗形態によって異なります

例えば、日用品や食料品を取り扱うコンビニやスーパーなどであれば、商圏は狭くなります。コンビニエンスストアがごく近くに乱立しているケースはよく見かけますが、これも商圏が狭い(商圏距離が短い)からこそ起こりうることです。一方で、アパレルや高級品を取り扱う百貨店などは遠くからでも買い物に訪れる人が多いことから、商圏が広い傾向にあります。

このような商圏の違いから、日用品や食料品は「最寄品(もよりひん)」、アパレルや高級品は「買回品(かいまわりひん)」と呼ばれることもあります。

エリアマーケティングを行うメリット

エリアマーケティングを行うメリットについて、3つのポイントをご紹介します。

顧客分析や商圏の見極めができる

実店舗では、商圏の見極めと顧客分析が重要です。店舗の潜在顧客がどれだけ見込めるか、想定される商圏内の人口構成、ボリュームゾーンはどこかなどを分析し、出店しようとしている店舗のターゲット層と合った人口構成を持つエリアに出店すれば、利益を最大化できます。既存店舗の場合、潜在顧客と販売商品や広告がミスマッチしていないかどうかチェックすることが可能です。

例えば、20〜30代女性向けのアパレルショップを出店する場合、高齢者が多いエリアよりも若年世代が多いエリアに出店する方が良いでしょう。高齢者向けの補助用具を取り扱うなら高齢者の多いエリアに、赤ちゃん向けのベビー用品店なら子育て世代や若い夫婦が集まるエリアに出店しなければ、ターゲット層とミスマッチしてしまいます。こうしたミスマッチを防ぐために、商圏分析が重要なのです。

商圏分析には、以下の2つの手法があります。

  • ハフモデル…消費者はできるだけ近くの、大きな店舗に行くという前提に基づいた来店確率の予測
  • 重回帰分析…複数の要素の中から、売上に影響する要素を絞り込む。最寄り駅からの距離、顧客の年齢など

需要や売上の予測につながる

利益を伸ばすためには、需要や売上をある程度予測しながら店舗運営していく必要があります。事前に商圏分析をしっかり行っておくことで、当該エリアの需要から売上予測も立てられるでしょう。新規店舗を出店する際には、既存の競合店舗があればその現状分析と組み合わせ、KPIを設定したり新店舗候補地を選定したりすることも可能です。

広告・販売戦略の立案に役立つ

広告・販売戦略は商圏内の人に向けたアプローチです。新規店舗の出店時にそもそも売れそうな地域を選ぶことはもちろん、既存店舗が仕入れる商品を決める際にもエリアマーケティングは役立ちます。例えば、若年層の夫婦世帯が多いエリアなら、取り扱う商品に子ども向けの商品増やすのも良いでしょう。初めに商圏分析をしっかり行っておくことで、リピート率アップのための施策も打ち出しやすくなります

エリアマーケティングは、広告戦略を立てるにあたって折り込み広告、ポスティング、SNSなどどのチャネルを利用するかの選択にも役立ちます。例えば、デジタル施策が苦手な高齢者が多い地域では慣れ親しんだ折り込み広告やチラシ、若年層が多い地域ではSNSなど、人口構成やボリュームゾーンを知ることで、施策を打ち出しやすくなるでしょう。

エリアマーケティングに必要な4つの分析手法

商圏分析では、マクロとミクロ2つの視点が必要です。また、商圏が持つ特徴や人の流れもおさえておかなくてはなりません。商圏をより詳しく理解するには、マクロとミクロの視点に加え、人流や競合に関する分析も必要です。

次は、商圏分析に必要な4つの分析について解説します。

マクロ環境の分析

マクロ環境とは人口統計・分布、昼夜間人口差、世代・年代構成、学生数や高齢者数など統計学的、俯瞰的な視点から地域を見たものです。マクロ環境分析では、国勢調査などによる統計データを活用することができますので、自社で一から調べる必要はありません。

さらに、地域ごとの住民性や土地柄、慣習や歴史、特産物、気候や風土なども考慮に入れると良いでしょう。文化的・物理的特性を知ることで、仕入れるべき商品や効果的なアプローチがわかります。例えば、関西と関東でうどんの味付けが異なることは有名ですが、このような文化的特性を知ることで、当該エリアに受け入れられやすいマーケティング戦略を立てられます。

ミクロ環境の分析

ミクロ環境の分析では、マクロ環境の分析よりもさらに細かい分析を行います。例えば、エリアごとの住民のライフスタイル、競合店舗など、そのエリアならではの特性です。特に、顧客構成やライフスタイルによっては、最寄り品・買回り品やハフモデルなどのセオリー的な理論がそのまま通用するとは限らないことに注意が必要です。

例えば、車移動が基本のエリアでは、近くの小さなスーパーマーケットより郊外のショッピングモール内にある生鮮食料品売場の方が利用しやすいかもしれません。競合店舗が行っている施策と同じものを行い、似たような商品を扱っても、住民はつい通い慣れた店舗に行ってしまうということも考えられます。

このように、マクロ環境分析に加えてミクロ環境の分析を行うことで、より具体的なマーケティング戦略の立案ができるようになります。

人流分析

商圏に住む顧客の動きは地域ごとに異なります。この動きを分析するのが、人流分析です。人流分析では、分析対象となったエリアに住む住民のライフスタイルや、買い物に関する意識・行動が分かるようになります。

人流分析では以下の情報をもとに顧客の動きを読み取ります。

  • 来店者の年代
  • 来店者の性別
  • 来店者の移動手段
  • 顧客の買い物頻度
  • 居住エリアと行動範囲

ライフスタイルや買い物に対する意識・行動は、効果的な施策を打ち出すのに役立つヒントです。人流分析が足りない状態では、顧客に響かない施策を実施するなどの失敗を招きかねません。

マーケティングを成功させるためにも、商圏に住む顧客の情報はできるだけ多く収集・分析しましょう。

【関連記事】
顧客分析の手法は?フレームワークでマーケティングに生かす方法を解説

競合分析

競合分析は、人流データから地域の市場や競合企業の状況・顧客動向を分析する方法です。

商圏が重なっている同業他社と同じ施策を打ち出しても、顧客は注目しません。同じ施策なら馴染み深い方に足を運ぶ顧客もいます。競合分析の不足は、顧客流出を招く原因のひとつです。

分析の際は、顧客や商圏にばかり目を向けるのではなく、競合他社にも注目しましょう。競合分析では商圏の重なる競合他社を対象に、以下の情報を収集・分析します。

  • 商圏
  • 来店者の年代
  • 来店者の性別
  • 来店ピーク時間
  • 主力商品
  • 販売戦略

競合分析は自社がより効果的な戦略を取るために行われます。正確な分析ができれば、以下のような対策を用いて他社との差別化を図ることも可能です。

  • 同業他社の来店ピーク時を避けてタイムセールを行う
  • 同業他社の主な来店者にアピールできるような商品や施策を展開する

スーパーマーケットはどの街にもある、ありふれた店舗のひとつです。顧客確保のためには、自社の強みや独自性を理解し、そのうえで施策を打ち出す必要があります。

【関連記事】
スーパーの差別化戦略とは?理由や差別化のポイントを詳しく解説

エリアマーケティングの3つのステップ

エリアマーケティングを行うための手順を、3つのステップにまとめました。それぞれ詳しく見ていきましょう。

商圏分析を行う

初めに、前章のマクロ環境分析・ミクロ環境分析を使って商圏分析を行いましょう。グラフや図表なども必要に応じて使いながら、俯瞰的に商圏を把握・分析します。国勢調査など既存データからマクロ環境分析を行うのはもちろん、地域住民の交通手段や競合他社の施策や品揃えなど、ミクロ環境の分析に必要なデータをしっかり集めましょう。

広告・販売戦略の策定

商圏分析の結果から、行うべき施策を決定します。例えば、新規店舗を出店する場合、ハフモデルが通用しそうなエリアで競合店舗が強い場合、あまり需要は見込めないでしょう。その場合は、競合他社の商圏と重ならない位置に出店するか、エリアの選定をやり直すことも重要です。

結果の分析とフィードバック

施策を行ったら、得られた結果を測定・分析し、改善の余地があれば反映しましょう。アンケートなどで顧客の声を集めるのも効果的です。新規出店の場合は特に、できるだけ早く行った施策の効果を測定し、次の施策につなげてリピーターを増やす必要があります。既存店舗の場合は逆に、施策を行っても最初は効果が得られにくいかもしれません。何度も測定・分析と改善を繰り返す試行錯誤が必要になるでしょう。

エリアマーケティングを成功させるポイント

エリアマーケティングは、ただ行えば成功するわけではありません。施策を成功させるには、以下のポイントをおさえる必要があります。

全体の予算を明確にしたうえで実施する

すべての施策に使える予算は限られています。集客できても結果的に費用対効果がマイナスになるようでは、意味がありません。まずは施策に使える予算を明確にしましょう。

常にマーケティングに使える予算全体を意識しながら施策を実施することで、各施策の限度額が分かります。予算の把握は費用超過による施策失敗を防ぐ重要な要素です。

地域の変化を見逃さない

人の流れは常に一定ではありません。これは顧客も同じです。地域に大きな変化が発生したときは、その都度マーケティング手法も変更しましょう。人の流れが変化する要素としては、以下のものがあります。

  • 新しい商業施設ができる
  • 大学のキャンパスができる
  • 新たに快速電車が止まるようになる
  • 近隣に大規模工場ができる

これらの変化が発生した場所が商圏外でも、近隣なら油断はできません。車移動が中心の地域は、商圏の範囲が広く、商圏外の顧客も来店します。

これらの変化は客層や購入商品に影響を与えるため、把握しておかないと売上・利益低下を招いてしまいます。常に地域や周辺の変化を察知し状況に合わせて手法を変えることも、エリアマーケティングにおける重要な要素です。

現地でのコミュニケーションも大切

データだけで得られる情報には限りがあります。ときには自身の足で地域の変化を確認し、商圏の住民とコミュニケーションを取ることも大切です。鮮度の高い需要を掴めば、より効果的な施策や戦略を打ち出せるようになるでしょう。

たとえば、データ上は高齢者層が多くても、実際は共働き層や子ども連れの家族層が多いケースもあります。このような差異は珍しくはありません。

施策成功には、地域の生の声や変化を敏感に察知しつつ、効果的な手法を考えることが大切です。

まとめ

エリアマーケティングとは、地域に合わせてローカライズされたマーケティング手法のことです。エリアマーケティングのためには、実店舗のある地域について深く知るため、マクロ環境分析とミクロ環境分析による商圏分析が重要です。施策を行った後は、フィードバックによる見直しと改善も忘れずに行いましょう。