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スーパーマーケットの食品ロスはなぜ起こる?その原因と対策をご紹介!

スーパーマーケットの食品ロスはなぜ起こる?その原因と対策をご紹介!

SDGsの目標の一つに「飢餓ゼロ」があるように、食品ロス(フードロス)の問題は世界規模で長らく問題とされています。例えば、消費者庁によれば2020年の日本の食品ロス量は522万トンで、これは世界全体での飢餓対策に充てられる食料の1.2倍の量となっています。

この状況を改善するため、令和元年には食品ロス削減への意識向上を目的とする「食品ロス削減推進法」が施行され、国、自治体、食品メーカーや小売店などの事業者間で対応が広がっています。もちろん、日本のスーパーマーケットでも食品ロス削減への対策が行われています。以降では、「スーパーマーケットにおける食品ロス」について、様々な角度から解説していきます。

スーパーでも行えるSDGsの取り組みについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
スーパーでできるSDGsとは?具体的な施策を7つご紹介

食品ロスの現状とスーパーマーケット

2023年現在、地球上では約78億人もの人々が暮らしていますが、そのうち9人に1人は栄養不足状態にあるとされています。ただ、そのような中でも世界人口は増加傾向にあり、2050年の世界人口は約97億人になるとの予測もあります。人口増加に伴ってますます栄養不足で苦しむ人を増やさないためにも、食品ロス軽減に取り組むことが重要なのは言うまでもありません。

ところで、農林水産省によれば2017年にスーパーやコンビニなどの飲食店で廃棄される食品量は合計328万トンにものぼりました。これらの内訳は売れ残りや返品、食べ残し、販売できない規格外品などです。

一方、同年の日本全体での食品ロスは約612万トンであるため、その半分以上が食品事業者関連のフードロスだと言えます。このことから、スーパーマーケットにおいても、食品ロス削減のために取り組みを強化していかなくてはならないと言えるでしょう。

スーパーで食品ロスが起こる原因

では、スーパーで食品ロスが起こる原因としてどのようなことが考えられるでしょうか。ここでは、その原因として考えられる3要素、「消費者の行動様式」、「1/3ルール」、「食品サンプル」について解説します。

消費者の行動様式

スーパーで食品ロスが起こる主な原因の一つとして、消費者自身の行動様式が挙げられます。例えば、消費者が以下のような心理を抱くのは、決して珍しいことではありません。

  • 色や形、鮮度が良いものだけを買いたい
  • できるだけ賞味期限、消費期限の長いものを買いたい
  • いつでも十分な量のお惣菜を買いたい

しかし、これらはいずれもスーパーでの食品ロスの重大な要因になりえます。例えば、色や形、鮮度が良いものだけを消費者が購入することによって、色や形が不揃いな食品は「規格外品」として廃棄されてしまうでしょう。また、消費者が鮮度が下がった商品を購入しなければ、これも廃棄の対象となってしまいます。

できるだけ鮮度が良いものを購入したい心理があるのは当然ですが、その心理を客観的に評価することも重要です。例えば、調理方法などによっては多少鮮度が下がっていても構わないケースもあります。また、色や形が規格から外れていても味や鮮度には全く問題がないものも少なくありません

できるだけ賞味期限や消費期限の長いものを買いたいという心理にも、同様のことが言えます。賞味期限や消費期限が長ければその分日持ちしますが、本来、購入してすぐ食べるものは賞味期限や消費期限が短くても構わないはずです。また、消費期限が過ぎた食べ物には食中毒リスクがあるため食べない方が良いですが、賞味期限の場合は味が多少落ちるというだけで、少しくらい期限を過ぎても問題なく食べられるものは少なくありません。

また、消費者がいつでも十分な量のお惣菜を購入できるようにするためには、それだけ大量のお惣菜を用意しておかなくてはなりません。その結果、閉店時間になってもお惣菜を売り切れず、廃棄せざるを得なくなってしまうケースが少なくないのです。

この問題を解決するためには、消費者が多少の不便を我慢することだけではなく、お惣菜の販売量を調整する、閉店時には売り切れるように適切にディスカウントを行うなど、店舗側の工夫も必要でしょう。

「1/3ルール」の存在

食品スーパーの商慣習に、「1/3ルール」があります。これは、製造日から賞味期限までの期間全体の2/3が経過するまでを「販売期限」と定め、1/3の期間を残して棚から撤去する、という暗黙のルールです。一部、「1/3ルール」の期間を過ぎても値引き販売などをして可能な限り売り切るスーパーも増えてきましたが、まだまだ「1/3ルール」に従って販売期限で廃棄してしまうところは多いです。

食品サンプル

食品サンプルも、フードロスを生み出す原因になることがあります。商品サンプルはパッケージがない中身だけだったりするものの、食品そのものが持ち込まれることに変わりはありません。食品サンプルは、他にも以下のような用途で使われています。

  • チラシや各種資料の撮影に使う
  • 試食販売に使う
  • 新商品展示会で配る

チラシや各種資料の撮影に使った後で捨ててしまうケース、試食販売の余りを捨ててしまうケースがあります。ほかにも、新商品展示会などの場で提供されるサンプルの廃棄も問題です。

スーパーでできる、食品ロス削減の取り組み

令和元年に施行された「食品ロス削減推進法」では、毎年10月を「食品ロス削減月間」と位置づけており、多くのスーパーでも、それぞれ取り組みが行われています。以下では、食品ロス削減プログラムのうち、いくつかの事例をご紹介します。

陳列の工夫

賞味期限や消費期限の近い商品を手に取ってもらいやすくなるような陳列上の工夫をすれば、食品ロスを削減しやすくなります。例えば、賞味期限や消費期限の近い商品から手前に置き、同時に消費者へポップなどを使って食品ロス削減への協力を促すことで、消費者自身の中に賞味期限や消費期限の近い商品を手に取る理由が生まれるでしょう。

ダイナミックプライシング

ダイナミックプライシングの導入も、食品ロス削減を実現するための有効な対策です。ダイナミックプライシングとは、鮮度の高い商品は高く、鮮度の低い商品は安く提供する値段のつけ方のことです。IT機器を導入するなどして商品の在庫と販売システムを連動させ、鮮度の低いもののほか、賞味期限や消費期限の近いものを自動的に値引きできれば、商品の売れ残りリスクを大幅に軽減できるでしょう。

ダイナミックプライシングについては、以下の記事でもご紹介しています。
スーパーでダイナミックプライシング導入。期待できる効果と導入準備を解説

「1/3ルール」の見直し

暗黙の了解となっている「1/3ルール」を見直し、販売期間を延長することで廃棄となる食品を減らせます。前述のダイナミックプライシングと組み合わせて、期限によって値引き販売することで消費者自身が自分のニーズにあわせて購入してくれるため、食品ロスを減らしやすくなるでしょう。

フードバンクを活用する

規格外品、パッケージの印字誤り、余剰在庫など、何らかの理由で店頭には並べられないものの安全に食べられる食品については、フードバンクを活用する方法もあります。フードバンクを活用すれば、廃棄されかねなかった食品が福祉施設や団体、個人に適切に提供されるため、食品ロス削減に貢献できます。

まとめ

世界向けの飢餓対策支援量よりもフードロスが多い現状や、多くの食品を輸入しながら多くの食品ロスを発生させている現状は、やはり健全とは言えません。この問題を解決するためには、自治体や食品メーカーとともに小売業であるスーパーマーケットでもさまざまな取り組みを行う必要があります。特に、陳列の工夫は今日からでもすぐ行えるでしょう。SDGs貢献のためには、食品ロス軽減に取り組んでみてはいかがでしょうか。