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スーパーにおけるゴールデンゾーンを活用し、売上アップにつなげよう

スーパーにおけるゴールデンゾーンを活用し、売上アップにつなげよう

スーパーマーケットなどの小売業では、商品の陳列が重要です。中でも、商品が最も売れやすくなるとされているゴールデンゾーンを意識することで、売上は大きく変化するとされています。

そこで、今回はスーパーマーケットにおけるゴールデンゾーンについて、その定義や考え方、重要な理由や置くべき商品例などをご紹介します。

ゴールデンゾーンとは

ゴールデンゾーンとは、どんな場所のことなのでしょうか。まずは定義や考え方をおさらいしましょう。

ゴールデンゾーンの定義

そもそも、売り場においてどのゾーンにどんな商品を陳列するかプランを立てることをゾーニングと言います。その中でも、顧客が見やすく、手に取りやすい高さのことをゴールデンゾーンと呼んでいます。もちろん販売したい商品すべてをゴールデンゾーンに置きたいのはやまやまですが、特に売りたい商品、目立たせたい商品、付加価値商品などをゴールデンゾーンに置くことで、収益向上につなげやすくなります。

ゴールデンゾーンは顧客の背丈によって変わってくるため、ターゲットとなるユーザーが男性か女性か、大人か子どもかなどによって異なります。一般的にゴールデンゾーンとされるのは、おおむね床から75〜135cmの範囲とされていますが、細かい考え方は後述します。ゴールデンゾーンの次に見やすく、手に取りやすい高さのことをシルバーゾーンと呼ぶこともあります。

一般的には売れ筋商品や主力商品、重点を置きたい商品などを置きますが、一緒にプライベートブランド商品を置いて消費者に存在を知ってもらい、価格が安いプライベートブランド商品を買ってもらおうという戦略に利用することもあります。

ゴールデンゾーンの考え方

まず、身長165cmくらいの人の視線を考えると、真っ直ぐに視線を伸ばした場合、視線の先は一般的なゴンドラ(棚)の高さとほぼ同じくらいの150cm前後になります。150cmの棚はたいてい2段展示になっていて、上段を115cm、下段を80cmの位置にすると、だいたい上段がみぞおちのあたり、下段が腰あたりの位置にくるため、手に取りやすい位置となるわけです。

また、人間には視野角という目に見える範囲があります。視野角には「中心視野角」と「周辺視野角」の2種類があり、中心視野角とは視線を中心にした20度くらいの範囲で、意識的に「見ている」と言える範囲のことです。一方、周辺視野角とは中心視野角の外側で、上下150度、左右180度くらいの漠然と見える範囲のことを指します。つまり、ゴンドラに真っ直ぐな視線を向けた場合、上段の商品が中心視野角に入るということです。

人間の自然な視野は、真っ直ぐな視線から10度くらい下の位置という説もあり、この説に添えば下段も中心視野角に入るため、ゴールデンゾーンとされています。このことから考えると、最も見やすい上段に主力商品や売りたい商品を置き、下段に売れ筋商品を置く、などが一つのやり方として考えられます。

男性のゴールデンゾーン

男性の平均身長は170cmくらいのため、男性のゴールデンゾーンは床から130〜160cm程度、シルバーゾーンが70〜130cm程度とされています。

女性のゴールデンゾーン

女性の平均身長は160cmくらいなので、女性のゴールデンゾーンは120cm〜150cm程度、シルバーゾーンが60〜120cm程度とされています。

子どものゴールデンゾーン

子どもは身長がそれぞれ異なるため、正確に何cmというのは難しいのですが、一般的に大人よりも下に目線が来ることを考え、だいたい80cm以下の場所がゴールデンゾーンとされています。コンビニやスーパーなどで子ども向けのお菓子が下の方に配置されているのは、これが理由です。

通路幅によっても異なるゴールデンゾーン

ゴールデンゾーンは、通路幅によっても異なります。例えば、通路幅が2mくらいと広い場所からゴンドラを見た場合、ゴンドラの足下から上下すべてがゴールデンゾーンとなるでしょう。逆に、通路幅が1m程度と狭く、視線を上下に動かせない場合は上段だけがゴールデンゾーンとなります。

つまり、ゴールデンゾーンを考えるときは単純に視線と視野だけから算出した一般論だけで考えるのではなく、通路幅を考慮に入れ、顧客がどの位置から商品を見るのかも考えながらゴールデンゾーンを意識する必要があります。実際に通路に立ってみて、どの位置ならどの商品が見やすいのか考えるのも有効です。

什器の種類によっても異なるゴールデンゾーン

ここまで、一般的な垂直型ゴンドラのゴールデンゾーンについて話してきました。しかし、什器の種類によってもゴールデンゾーンは異なります。一般的に、スーパーで使われる什器は以下の4つです。

  • 垂直型ゴンドラ
  • 張り出し型ゴンドラ
  • L型ゴンドラ
  • 冷蔵ケース

垂直型ゴンドラは、これまで説明してきた通りです。張り出し型ゴンドラでは下部が張り出しているため、下部も目線に入りやすく、ゴールデンゾーンとまでは言えないものの、見やすい下段の商品も売れやすくなっています。

同じように、L型ゴンドラでも見やすい下段は売れやすく、L型ゴンドラでは最下部が非常に見やすいため、ゴールデンゾーンと言えます。冷蔵ケースではケース内が最も見やすいため、その部分がゴールデンゾーンです。

ゴールデンゾーンの分析方法

ゴールデンゾーンが異なるのは、ターゲット層や什器だけではありません。店舗にもそれぞれゴールデンゾーンがあります。商品を効果的に販売するには、自社の棚や配置ごとのゴールデンゾーンも把握しなくてはなりません。

ゴールデンゾーンの有無だけでなく存在理由も分析できれば、別の場所に増設できる可能性もあります。次は、ゴールデンゾーンの存在理由を分析する方法を解説します。

接触・購入商品分析

まずは店舗のどこにゴールデンゾーンがあるのか、つまり指標値を見極めなくてはなりません。指標値を見極める際に有効なのが、接触・購入商品分析です。

接触・購入商品分析は、商品・メーカーごとに接触した顧客数や購入回数を調査する方法です。顧客数や購入回数が多い商品が入っている場所が、ゴールデンゾーンとなります。

調査や分析は一か所だけでなく、店舗内で複数の場所で行い、指標値に当たる場所を絞り込みます。

基礎調査

分析には指標値だけでなく、現状の数値も調べなくてはなりません。この調査が、基礎調査です。基礎調査では、ゴールデンゾーンを調べる際に必要な指標をチェックします。

たとえば、商品接触人数を調べる場合、以下の数値を調査します。

  • 売り場
  • 位置
  • 機能性
  • 回数または人数・頻度
  • 日時

分析する目的により数値は異なりますが、必要な指標を絞り込み、調査・集計する点は変わりません。必要なデータを集めたら、接触・購入商品分析で得たデータとともに次の調査に移ります。

A/Bテスト

接触・購入商品分析と基礎調査のデータをもとに、数値の上限を調べるのがA/Bテストです。ランダムで抽出したパターンをふたつ用意し、基礎調査のデータをベースにしながら調べます。

変化の具体的な要素としては、以下のものがあげられます。

  • 棚割り
  • 商品変更
  • 施策

パターンごとに指標値に変化が生まれるのか調べることで、ゴールデンゾーンの存在理由がある程度分かります。テスト時はこの変化が分かりやすいよう、何かしらの介入を入れるのがポイントです。

テストを繰り返して指標値の上限を分析し続けると、店舗内にあるゴールデンゾーンの要素が判明します。

たとえば、棚割りの配置がゴールデンゾーンを生み出していたとします。棚にある商品を変更した場合、置いた商品が売れやすくなる変化はあっても、ゴールデンゾーン自体への影響はほとんどありません。

一方、配置する商品数や棚の幅などを変えた場合、ゴールデンゾーンは消失または移動します。これにより、棚割りがゴールデンゾーンを生み出していたことが分かります。

ゴールデンゾーンの分析は、存在理由を割り出すだけでは不十分です。ゴールデンゾーン以外の場所にも活かせないか検討・実施することも忘れないようにしましょう。

ゴールデンゾーンが重要な理由

ゴールデンゾーンが重要な理由として、以下の2つのポイントが挙げられます。

視認率を上げるため

顧客が商品を購入するまでには、商品を見て、知って、購入するという流れがあります。つまり、そもそも商品を見てもらえなければ知ってももらえず、購入に至りません。そこで、ゴールデンゾーンに見てほしい商品を並べ、購入につなげていく必要があります。顧客が商品を見る頻度のことを視認率と言い、最初にご紹介したプライベートブランドの商品をゴールデンゾーンに並べるなどは、視認率を上げるための施策と言えるでしょう。

顧客の購買意欲を上げるため

ゴールデンゾーンに並べられる商品は、売りたい商品や主力商品が多いです。そこで、ゴールデンゾーンに並べる商品の周囲にそれほど売れなくても良い商品を並べたり、逆に、ゴールデンゾーンに並べた商品と抱き合わせで売りたい商品を並べたりすることで、ゴールデンゾーンの商品の印象を強めたり、ゴールデンゾーンの商品で高まった購買意欲で「ついで買い」を促したりできます。

ゴールデンゾーンに置く商品の例

最後に、ゴールデンゾーンに置くと良い商品の例を4つご紹介します。

新商品

新商品は、まだ一般に知られておらず、普及していません。そのため、ゴールデンゾーンに置くことで、できるだけ多くの人に知ってもらい、手にとってもらうことで購入につなげる、という方法です。

割引品

割引商品は、特にスーパーマーケットなどの小売業では目玉商品として売りたいものです。割引商品をゴールデンゾーンに置くことで、より購買意欲を高め、購買数を増やす方法があります。

重点商品

店舗として力を入れている商品、売りたい商品をゴールデンゾーンに置くという非常にオーソドックスな手法です。売りたい商品をゴールデンゾーンに置くことで視認率を上げ、より多くの人に買ってもらおうとするものです。

よく売れる商品

よく売れる商品をゴールデンゾーンに置くのは、より購買数を高める意味の他に、売れ筋商品によって購買意欲を高め、周辺の商品にも興味を持ってもらい、「ついで買い」を促すなどの意味もあります。

シルバーゾーンについて

ゴールデンゾーンの次に視認率が高い範囲を、シルバーゾーンといいます。ゴールデンゾーンほど効果はありませんが、適切に使い分ければ、バランスよく購入を促すのに役立てられる場所です。

たとえば、ゴールデンゾーンに売りたい商品を置き、アピールしなくても売れる定番商品や売れ筋商品をシルバーゾーンに置くことで、購入数を全体的に向上する効果を狙うテクニックがあります。

ゴールデンゾーンを活かしたテクニック

ゴールデンゾーンを活かしたテクニックを理解しておけば、商品購入数や売上を効率的に向上できます。実際の棚割りにも活かせる陳列テクニックも把握しておきましょう。

なお、テクニック解説ではスーパーマーケットでよく使われている6段ゴンドラ什器を例に活用します。この什器のゴールデンゾーンは、上から3~4段目です。

自社に応用する場合は、店舗で使用している什器や分析で割り出した指標値に合わせて考えましょう。

棚を上下3段に分けるテクニック

陳列の基本的なパターンで、ゴールデンゾーンを含めた上段3段と下段3段で商品を展開するテクニックです。

6段ゴンドラ什器なら、ゴールデンゾーンである上から3~4段目に売りたい商品を配置します。その上3段に週間で売る商品を、下3段に広告や売れ筋商品を配置する方法です。

上下両方のカテゴリーでゴールデンゾーンを使うことで、効率的に商品を販売できます。

売りたい商品をピンポイントで陳列するテクニック

ゴールデンゾーンに広告の品などの販売したい商品を入れておき、ほかの棚には週間で売る商品を入れる方法です。6段ゴンドラ什器の場合、上から3段目に売りたい商品を入れ、ほかの段には週間で売る商品を入れます。

ゴールデンゾーンに商品を集中させることで、広告の商品を目立たせつつほかの商品もあわせて販売できるテクニックです。エンドなどでよく活用されています。

顧客の目線の動きも利用する

ゴールデンゾーンの効果をより高めるには、顧客の目線の動きにも注目しましょう。

人の目線は物を見るとき、左上から右下に向かって動きます。「Z」字を書くようなイメージです。これは陳列を見るときも同じで、売りたい商品を棚の左上端に配置すると、顧客の目に留まりやすくなります。

ほかのテクニックと顧客の目線の動きを併用すれば、商品をより自然に、印象的に顧客の目に留まらせる効果が期待できるでしょう。

商品陳列は什器や配置のゴールデンゾーンだけでなく、目線の動きにも注目して配置するのがポイントです。

まとめ

ゴールデンゾーンとは、顧客が見やすく、手に取りやすい高さのことです。そのため、ターゲットとなる顧客が男性か女性か、大人か子どもかなどでも異なります。他にも通路幅や什器の形によっても異なるため、一律のゴールデンゾーンがあるわけではなく、売り場によって異なるゴールデンゾーンを上手に使うことが重要です。