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慣習価格とは?用語の意味やそのほかの価格用語、価格設定戦略も解説

慣習価格とは?用語の意味やそのほかの価格用語、価格設定戦略も解説

商品やサービスには、価格設定が重要です。価格の決め方には様々な手法があり、顧客心理を想定して価格設定を行う「心理的価格設定」は、価格設定の代表的な手法です。そして、「心理的価格」の一つに「慣習価格」があります。本記事では、慣習価格の意味やそのほかの価格用語、価格設定戦略(価格政策)についてご紹介します。

企業の価格設定戦略

マーケティングのフレームワーク「4P」に「Price(価格)」が含まれるように、価格戦略は企業活動の基盤となる重要な要素です。価格設定が高いほど商品・サービス1つあたりの利益は大きくなりますが、高すぎると売れなくなり、結果的に全体の利益は下がってしまいます。各企業は価格ではなく利益を最大化するという視点で消費者心理や競合他社の動向を読み、商品・サービス価格を決めることが重要となります。

当たり前のようですが、商品を購入したりサービスを利用したりするうえで、消費者の多くは価格を重視します。例えば、消費者庁が発表した「平成30年版消費者白書」によれば、価格を「常に意識する」「よく意識する」と回答した消費者の割合は、合わせて91.1%にものぼります。

つまり、品質が良ければ価格が高くても買ってもらえるとは限らず、予算の都合で低価格な商品を妥協して選ぶ消費者も多いと言えます。しかし、価格を安く設定しすぎると商品を作ったり仕入れたりするのにかかったコストを回収できません。また、安すぎると低品質なのではないかという誤解を生み、ブランディングに支障が出る可能性もあります。

このように、価格の設定は単純に直近の利益に直結するだけでなく、ブランディングまで含めた経営戦略の一つとなり得るため、企業は様々な要素を複合的に加味した最適な価格設定を目指します。価格決定の手法が多岐にわたるのも、ある意味必然だと言えるでしょう。

消費者の心理を読む、心理的価格設定

顧客の心理を読むことはマーケティングの根幹であり、多くの企業は顧客心理を推定しながら価格設定を行っています。消費者心理を読んで価格付けを行う方法には、大きく分けて以下の7種の方法があります。なお、これらの7つの方法で決定される価格は、「心理的価格」とも呼ばれます。

慣習価格法

慣習価格とは、消費者がある商品に対して認識している伝統的、または慣習的な価格水準のことを指します。例えば、自販機の缶ジュースの120円前後、もやしの30円前後という価格は、慣習価格の好例です。慣習価格と紐づいた商品は値下げをしても需要が大きく増えることはない一方、値上げすると極端に需要が落ちる傾向があると言われています。

一方で、「価格の変動に対して需要または供給がどれほど変動するか」という概念は「価格弾力性」という言葉で表現されます。慣習価格が付いた商品は、価格の下落に対しては消費者の需要が大きく伸びることはないために「価格弾力性」が低いと言えます。一方、価格が上昇した場合には消費者需要が大きく落ち込むことが多く、「価格弾力性」が高いと言えるでしょう。

慣習価格がつきやすい商品事例

慣習価格がつきやすい商品には、自動販売機の飲料やたばこ、コンビニの食品やガム、飴、食材では豆腐やもやしなどが当てはまります。これらの商品に関しては、既に消費者が期待する一定の価格水準が慣習的に存在していると言えます。

市場価格追随法

市場価格追髄法とは、名前の通り「既に市場に出回っている商品の価格」を基準として、自社商品の価格を決める手法です。競合商品の価格を基準とし、自社商品が独自の付加価値などで差別化できる場合には競合以上の価格を設定します。一方、競合との差別化が難しい場合には競合と同水準、または基準より低い価格を設定することになります。

市場価格追随法で設定しやすい商品事例

市場価格追随法は、最も一般的な価格戦略の一つだと言えるでしょう。本手法は多くの業界・商品で見られます。例えば、日用品や食品などに適用されることが多いです。

プライスリーダー追随法

プライスリーダー追髄法とは、自社製品・サービスの価格設定の際にその業界で大きな存在感と影響力を持つリーダー企業の販売価格を基準とする手法です。競合企業の価格を基準にする点では市場価格追髄法と同様の手法ですが、基準とするのがリーダー企業である点が異なります。

一般的に、市場で高いシェアを持つリーダー企業はその価格での品質に対して消費者からの信頼も厚いため、他企業がリーダー企業以上の価格をつけても付加価値を見出してもらえず、売れないことが多いとされます。よほど商品に自信がある場合を除き、リーダー価格よりも低い価格を付けるのが一般的でしょう。

プライスリーダー追随法で設定しやすい商品事例

プライスリーダー追髄法がよく使われるのは、牛丼チェーンや携帯電話の回線料金などです。市場におけるシェアが極端に偏っており、リーダー企業の力が非常に強い場合にこの手法が使われます。

名声価格法

商品やサービスそのものに強い希少性がある場合には、高い価格がついていること自体が当該商品・サービスの魅力をさらに高めることがあります。その場合に用いられる価格設定方法が、「名声価格法」です。

名声価格法は別名「威光価格法」、「プレミアム価格法」とも呼ばれます。名声価格法は、価格が高いものは価値があるはずだと考える消費者心理に基づいた価格設定です。この価格設定法を適用できるのは、強い独自要素を持つ一流ブランド品など、ごく一部の製品・サービスに限られます。

名声価格法で設定しやすい商品事例

名声価格法で設定しやすい商品は、美術品や高級ブランド品などの贅沢品、または希少性の高い商品です。他の商品とは一線を画す品質の良さやブランド力を前面に打ち出し、あえて商品・サービスを高値で販売します。海外有名ブランドのスポーツカーなどは、名声価格が設定された商品の好例と言えます。

段階価格法

段階価格法とは、人間はいくつかの段階を示されるとその中間の「普通」を選択してしまう、という心理を利用した価格設定方法です。この手法では、低価格な商品、通常価格品、高級品のように段階で分けて商品を展開し、通常価格品を購入してもらおうとします。日本では松竹梅で価格設定の段階を表現することも多いため、松竹梅の法則と呼ばれることもあります。松竹梅の法則では、およそ3:5:2で真ん中(竹、普通の価格設定)が選ばれることが多いようです。

段階価格法で設定しやすい商品事例

段階価格法で設定しやすいのは、弁当やコース料理などのように低価格から高級品までいくつかの種類を設定しやすい商品です。機能数を調節できる家電製品なども当てはまります。内容に差をつけることで価格差をつけ、いくつかの選択肢を用意することができる商品に向いています。

端数価格法

端数価格法とは、その名の通り、商品価格にあえて端数を作る手法です。例えば、商品価格を5000円や6,000円のようにキリの良い数字にするのではなく、4,980円、5,980円というようにわずかに値下げを行います。このような端数を持つ価格は、大台割れ価格とも呼ばれます。端数を含む価格にすることで実際の価格差よりもお得に見えるため、消費者の購買意欲を刺激できます。

端数価格法で設定しやすい商品事例

端数価格法は多くの商品に使われる方法で、日用品や衣料品、電化製品などさまざまな商品に適用できます。ただし、価格が高いこと自体が商品価値を高める高級品やブランド品には、基本的には適用されません。

均一価格法

均一価格法とは、異なる複数商品の価格をあえて統一する手法です。特に、安価な価格帯で均一な価格設定を行うことで、消費者に選択肢を与えず、必要性の薄いものでも「安いから」や「念のため」と購入を促すことができます。

均一価格法で設定しやすい商品事例

均一価格法は、100円ショップや300円ショップ、均一価格の居酒屋チェーンなどで採り入れられています。また、均一価格は合計費用の計算が簡単である点で消費者から人気があり、「とりあえず購入」、「念のため購入」を促しやすいため、売上向上に役立ちます。

そのほかの価格法や価格

価格設定の手法には、これまで説明してきた「心理的価格法」のほかにも、様々な方法があります。例えば、コストプラス法(コストプラス価格設定方式)とマークアップ法(マークアップ価格設定方式)がよく知られる方法です。また、そのほかの価格用語として、希望小売価格やオープン価格などもあります。

コストプラス法

コストプラス法は、商品やサービスを提供するためにかかったコストに利益を上乗せし、価格を設定する手法です。消費者が商品やサービスを購入すれば確実に利益が生まれるというメリットがありますが、反面、消費者が期待するほど安い価格設定にできるとは限らないというデメリットもあります。この手法は、売り手の交渉力が強い独占・寡占市場や、公共事業の発注時などに用いられます。

マークアップ法

マークアップ法はコストプラス法と似た考え方をする価格設定法です。本手法では、コストではなく仕入れ原価に一定の利益を上乗せして価格を設定します。マークアップ法は、小売業者や卸売業者に用いられることが多いとされています。

希望小売価格

メーカーや卸売業者が、自社製品の小売販売価格の目安として設定するのが希望小売価格です。ただし、一部の例外を除き、メーカーが小売業者の持つ価格設定権を奪うことは独占禁止法で禁じられているため、希望小売価格はあくまで参考価格という扱いです。実際、メーカーの希望小売価格と小売店での店頭価格が一致しないケースは珍しくありません。

オープン価格

メーカーが卸値(メーカー出荷価格)のみを設定し、希望小売価格を設定しないケースもあります。その場合は、その商品を売る小売店が当該商品の価格を自由に決定できます。そして、この自由に決定できる価格のことをオープン価格またはオープンプライスと呼びます。

まとめ

慣習価格とは、消費者間に慣習・伝統として定着した一定の価格水準を指し、缶ジュースやもやしの価格がその好例です。なお、慣習価格のついた商品は、値上げに敏感に反応して需要を大きく落とす一方、値下げをしても需要は大きく伸びないとされています。

また、慣習価格の他にも、心理面に訴えかける価格の設定方法、原価やコストから価格を決定する方法などの価格政策があります。そして、多岐にわたる価格設定方法にはそれぞれ相性の良い商品・サービスがあります。取り扱う商品やサービスの性質・品質はもちろん、自社の目指すべき方向性によっても、採るべき価格設定戦略も異なってくるでしょう。